多様なデータ、デジタルツインで連携
目指すのはフルデジタルな社会
Society5・0実現へ
データ標準化、交換ルールづくり
デジタル庁
データ戦略統括
平本 健二 氏

わが国のデジタル化が目指しているものは

 日本のデジタル化が最終的にめざすのは、Society5・0です。サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムを駆使し、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を構築することが狙いです。そこでは、IoTで全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され新たな価値を生むことができます。また、人工知能(AI)による多くの情報の分析、ロボットや自動運転車などの支援による、人の活躍する可能性がさらに広がります。

 IoT、ロボット、人工知能、ビッグデータなどの先端技術をあらゆる産業や社会に取り入れ、格差なく、多様なニーズにきめ細やかに対応したモノやサービスを提供し、経済発展と社会的課題の解決を両立させます。医療分野では予防検診やロボット介護技術を駆使し、健康寿命の延伸や社会コストの低減を図ります。食料分野では農作業の自動化や最適な配送手法を生かして、食料の増産や、食品ロスの削減などが実現できるでしょう。

 こうしたAIとかIoTを使いこなしたフルデジタルな社会の実現をめざしています。デジタルツイン、メタバースともいわれる世界を具現化するものです。すでに一部で実現していますが、より円滑にバーチャルな世界でシミュレーションしたり、トレーニングしたりできるようになります。

 そのためには、現実社会で実現している精緻な設計や実装がデジタル社会の3Dモデルの中でも実現できなければいけません。

デジタル庁の果たす役割は

 各省庁がさまざまなデータを利活用する基盤作りが大きなポイントとなります。DX(デジタルトランスフォーメーション)という新しい考え方に柔軟に対応できる枠組みを至急、構築しなければなりません。

 これまでは、CAD、BIM、CIMなどといった建設のデータ、行政サービスで使われる行政データ、センサーから取得するセンサーデータなどが別々に管理されていました。また、医療施設や博物館の開館時間などといった都市サービスのデータも別途あります。こうした多様なデータをデジタルツインの空間でシームレスにつながるようにします。そのためのデータの標準化、データの交換ルールづくりをいま進めているところです。

 デジタル庁の役割は、官公庁や自治体、都道府県の職員の方々が業務をスムーズにしたり、国民の皆様がサービスを円滑に受けたりすることができるように、多様な業務をデジタル化することです。デジタルの専門家集団として各省庁、行政と連携しながら進めています。

デジタル技術が社会にもたらす影響は

 これまでの技術変化は車のエンジンや、断熱材の断熱性能のように少しずつステップアップします。しかしデジタル分野の技術変化はジャンプアップします。ドローンのように、従来のシステムの枠組みを超えるものが急に出現し普及します。従来、トラックで運んでいたモノをドローンで運ぶようになると、それまで、どうやって渋滞を避け、物流コストを下げ、よりよいサービスを提供するかといったことを検討していたのが、空間にどういう通路をつくればよいかというように一気に議論の次元が飛躍します。

 このようにドラスティックかつ根本的に社会システムの変革をもたらすことになります。

建設業界におけるデジタル化の取り組みをどう見ますか

 建設業は、建設機械の無人化施工、ICT建機の普及や、BIM/CIMなどの普及といったように、ある意味でデジタル化が急速に浸透しています。今後は建設現場でロボットを活用していくことも考えられます。特に作業環境の厳しいところでは、こうしたロボットが活躍する日が近い将来、実現するでしょう。

 また、2020年度から国土交通省が主導するプロジェクト プラトー(Project PLATEAU)では、現実の都市をサイバー空間で再現する3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化が進められています。この取り組みは、スマートシティをはじめとするまちづくりのデジタルトランスフォーメーションを進めるために有効で、このようなデータによる防災対策などにも大きな期待が寄せられています。

 このような3D都市モデルがSociety5・0やデジタルツイン実現のためのデジタル・インフラの役割を果たすことになるでしょう。

 こうした動きを踏まえて、建設産業界の方々とも連携を図り、私たちが目標とする2030年のデジタル社会の実現を達成していきたいと思います。

さまざまな取り組みが多面的に進む中で、5月25日から千葉市の幕張メッセで、次世代を担う、最先端技術が一堂に会するCSPI―EXPO(第4回建設・測量生産性向上展)が開催されます

 リアルな展示会でいろいろな形で最新技術に触れることは得がたい経験です。ソフトの世界、ハードの世界といった違う立場の人が出会うことができます。

 私は展示会で全体のトレンドを見ることに注力しています。展示会場では全ての通路をくまなく歩き、あらゆるブースをさっと眺めます。そして、鳥の目、虫の目、魚の目で全体を見渡し、時代の流れ、技術などのトレンドを読むことに徹します。

 展示会はトレンドウォッチングに最適です。こうした展示会に定期的に参加し、時代、トレンドの変化を把握することが重要ではないでしょうか。

\\ 『建設のミライ』がここに集結 //

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